CATEGORY
【栄光冨士】【ひとりよがり】冨士酒造
■栄光冨士,銘柄の由来ほか
安永7年、加茂屋專之助が酒銘を「冨士」と定め酒造業を開始しました。銘柄のいわれは不明ですが当時数多くあった当地の蔵元の商標には日本の名所を標ぼうするものが幾つか見受けられますのでそれに倣ったものと想像され、それが富士山に何の関係もない山形に「栄光冨士」なるレッテルが存在するゆえんであると思われます。そして昭和30年代になってようやく、栄光冨士として商標登録されたのです。
ところで、蔵元である加藤家の家宝として清正公が愛用していたと言われている手槍の柄の部分が残っておりますが、これは社長家の先祖が加藤清正公の長男忠廣公であるという、この地にかなり根強く受け継がれている伝承を裏づけるものとも言われています。
紋付には清正公の紋と同じ「蛇の目」を使用しておりまして、江戸時代に建築された現存の最古の蔵は除いて、明治以降の二つの酒蔵の扉の装飾には「蛇の目」があしらわれております。
■伝統と挑戦の酒蔵
昔からこの地方では数多くある地酒に、誰いうとなくランクがつけられておりました。栄光冨士は、例えば「あそこのしゅうげん(結婚披露宴)は冨士でやるそうだ」とか「今晩の集まりはふんぱつして冨士でやろう」とか言うふうに、その当時から別格の上等酒の扱いを受けて参ったのです。
しかしこれにおごることなく、代々品質への絶えまない努力を行っており、良い薫りをひきだす特別の酵母を用い、ていねいに、良心的な「手造り」の清酒を醸しているものと自負しております。そのお蔭とでも言えましょうか、昭和9年には第14回全国酒類品評会で価値ある名誉賞(3年連続優等賞に授与される)を受賞いたしております。
酒屋は、その技術コンクールともいうべき品評会、鑑評会の成績に一喜一憂します。全国規模の南部杜氏自醸酒鑑評会では、昭和49年に第3位入賞を果たし昭和56年度は第4位、昭和57年度は、第2位で国税長官杯を受賞しております。最近では、全国新酒鑑評会において、昨年こそ入賞ではありましたが、それまで4年連続で金賞を受賞いたしております。今後も更に美味しいお酒をお届けするために、造りの度ごとに品質へのチャレンジを続けている蔵元です。